泉家住宅

泉家住宅
泉家住宅
ヒキモン構造
ヒキモン構造

概要説明

 奄美市笠利町の宇宿集落にある泉家住宅は、明治時代初期に建てられた奄美大島の伝統的古民家です。奄美に特徴的な二棟一組の家屋で、居住接客棟の「オモテ」と炊飯食事棟の「トォゴラ」から成る分棟型(別棟型)の構成が特徴です。オモテは今から約140年前の明治8年(1875)、トォゴラはその18年後に建造といわれています。奄美大島や加計呂麻島に集中して分布する「ヒキモン構造」と呼ばれる建築技術(マーヤ造り等と言われる)が認められ、鹿児島本土や沖縄の古民家とは異なる様相を示しています。「ヒキモン構造」は、大きい梁や桁に柱を貫通させて固定することで、非常に頑丈な構造を生み出し、さらに、鉄釘を使わず、楔で締めて固定するため、解体・組立が容易であり、移築が行ないやすいという利点があります。
 森林に恵まれず、材木が手に入りにくい奄美市笠利町では、奄美市住用町や大和村から、材木を調達したり移築したりした古民家が多数確認されています。
泉家住宅は、家屋構成やヒキモン構造等、奄美の伝統的な古民家の特徴が認められる上、敷地内には、食料の保管庫である「高倉」やサンゴ石の囲いがある井戸、周囲にめぐらされた土塁、防風林等があり、昔の奄美の居住空間がセットでよく保存されています。そのため、奄美の建築文化を理解する上で貴重な建造物として、平成6年(1994)7月12日に国指定重要文化財(建造物)に指定されました。
 平成29年度には、屋根のふき替え修理が実施され、管理されている泉家の方々と宇宿集落のご協力により、泉家住宅は現在も良い状態を保ちながら維持されています。

指定状況

・国指定重要文化財(建造物)